保護したネコ「世之介」に危機が⁉ そして6匹がついに2匹になった。
夜泣きする孫を世話して眠れずにフラフラになることを義母はよく“夜明けのガス燈”と言っていた。
“ガス燈”がどんな灯りかは私は知らないが、子供の夜泣きで眠ることができず
頭がぼーっとした状態をそう表現したのだろう。
保護猫を6匹引き取ってから我が家族全員もまさにそんな状態だった。
早くに2匹を亡くしてしまったので、4匹はなんとか育てなくてはと取り組んではみたものの、
生まれたばかりの猫を育てた経験もなく、何をやるにも手探り。
3時間おきにミルクを上げるのはしんどい作業で、家族3人のうち、夜中のミルクあげは離脱者が続出、
朝まで全員寝入ってしまうことも。朝も4時か5時にはお腹が空いたと起こされることも多く、
いつ寝て、いつ起きたのかわからない感じ。義母が言っていた“夜明けのガス燈”を実感することができた。
それでも引き取ってからひと月くらい経つと子猫たちもようやく離乳食を食べるようになり、
排泄も自分でするようになった。4匹のうち、メスとオスの2匹を里親に渡せば、
かなり楽になるのではと思っていた我が家に、突然試練がやってきた。
4匹のうち、全身真っ白の「世之介」の下半身に先天性とも思える症状が見つかったのだ。
何度目かの診断でそれが発覚、院長先生は「このままでは長く生きていけない、すぐ手術しましょう」と。
加えて手術しても「万が一のことも考えてください」と先生は付け加えた。
それで生後1ヶ月少しの「世之介」は全身麻酔で手術を受けることに。
朝9時に病院に連れて行き、自宅で14時過ぎからの手術の結果を待つ。
そして17時過ぎ、無事手術は終わったと連絡があり、引き取りに。
手術は無事成功したが、まだ400g程度の子猫の腕には点滴の管が繋がっていて、毛が少し血で滲んでいる。
下半身にカテーテルを入れており、それを舐めたりしないように首にガード(これはエリザベスカラーと
呼ばれるらしい)を着けているが、本人は至って元気そう。
家に連れて帰ると手術以前のように家の中を飛び回る。それでカテーテルを止めている糸が切れたり、
カテーテルそのものが飛び出てしまうこともあり、これ以降、毎週のように病院に通うようになったが
食欲は相変わらずあり、スクスク大きくなった。体重が1kgを超えたころ、「2kgを超えたら本格的な
手術をしましょうね」と先生が。まだまだ先は長い。それまで当分首のガードは取れないし、
ほかの猫たちと遊ばせることもできない。これは本人にとっても辛いことだろう。
「世之介」の病院通いと同時進行で、
唯一のメスの「祥子」と、いつも元気だった「キャプテン・オニギリ」の2匹が里親さんの元に。
引き取りに来た里親さんに「祥子」はすぐに慣れているようだったが、
クルマで最寄りの駅に送る途中、今まで聞いたことがなかった鳴き声を出し、なんだか切ない気分に。
でも数日後、里親さんと一緒にテレビでゲーム機を眺めている写真が送られてきた。
すぐに慣れたのだろう。トイレをいつもきれいにしておかないとオシッコもしないとの
メールが送られてきた。そんなワガママまでいうようになったとしたら、もう大丈夫。
「キャプテン・オニギリ」は大阪へ。すでに先住猫さんがいらっしゃる家庭なので、
「キャプテン・オニギリ」が使っていた猫砂を少し持っていってもらう。
好きだったキャットフードやチュールなども一緒に渡す。
数日後、猫たちの様子が動画で送られてきたが、2匹はまだ少し離れてお互いの様子を伺っている感じだ。
先住猫がメスなので、母性が目覚めてくれればいいと思うが、その後の便りはまだ届いていない。
6月末に息子が保護してときには6匹の猫が我が家にやってきたが、
3ヶ月目を迎えた9月には我が家の猫たちはついに2匹になってしまった。
まだ首のエリザベスが取れない「世之介」と、6匹のうち、唯一のチャトラ猫だった「タメ吉」の2匹。
「世之介」は1匹で半ば隔離状態だったこともあって、1匹でケージに入れておいても鳴くこともないが、
それまで3匹、あるいは2匹一緒に育ってきた「タメ吉」は、逆に1匹になると寂しくて鳴くように。
「キャプテン・オニギリ」がいなくなった夜など、いろいろな場所をうろつきながら鳴き続けた。
「世之介」の体重もだんだん増えてきて、目標の2kgまでもう少し。あと2ヶ月くらいすれば
本格的な手術ができて、下半身のカテーテルも取れ、首のエリザベスを外すことができるだろう。
そうすれば兄弟仲良くじゃれあうこともでき、我々の子育て、いや猫育てもひと段落する。
「世之介」は夜、ケージに入れて寝かしているが、「タメ吉」は夜はもうケージには入れていない。
部屋をうろうろし、布団の上でひとしきり遊んで疲れると私か家内の側で朝まで寝てしまう。
起きているときには悪戯ばかりの「タメ吉」だが、寝ると可愛い。子供とまるで同じだ。
早く「世之介」もそれができるようになればいいのだが、、、、
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